一般財団法人筑波麓仁会 筑波学園病院

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がんに対する心配なこと

はじめに

現在、2人にひとりが「がん」と診断されます。けして珍しい病気ではなくなったものの、それでも「がん」と告げられることは衝撃的なことで、心におおきなストレスをもたらします。

「まさか自分が…」と認めたくない気持ちが強くなる方、病気と向き合うこと、現実を受け止めていくことは簡単なことではないと感じられる方、様々なことを諦める気持ちを持つ方もおられます。

筑波学園病院では、皆さんが感じられた不安な気持ちを和らげ、今できることに目を向けて新しい一歩を踏み出すことができるようにサポートしたいと考えています。

自分ががんと診断されたら

まず「がんという病気」について解説します。

私たちの体は約60兆個の細胞から出来ています。細胞の一部は毎日分裂して入れ替わっていきますが、正常な細胞の遺伝子に傷がついたりすると、異常な細胞が発生することがあります。これを「がん細胞」といいます。がん細胞は健康な体にも発生しますが、通常は免疫が動いてがん細胞を死滅させます。しかし免疫の効果が得られず、がん細胞が増殖し固まりになったものを「がん」といいます。

がん細胞が周囲にある血管やリンパ管に入り込んで、体内の他の臓器や骨などに移動して、その場でがん細胞が増えることを「転移」と言います。また、がん細胞が周囲に直接広がることを「浸潤」と言います。

もしもご自分ががんと診断されたら、びっくりするでしょうし、衝撃を受けられるでしょう。それは特別なことではなくつらい気持ちから自分の心を守ろうとする自然な反応です。そこから一つずつのことを受け止めていき、がんと上手に向き合っていく一助となるよう、いくつかの「コツ」をお伝えします。

こころのケア

心のつらさをなくすことは、がん治療と同じくらい大切なことです。無理に頑張ったり平静を装ったりする必要はありません。通常は数日から数週間で、困難を乗り越え適応しようとする力が働きだします。そのためにも図に示されているような不安や心配な事、つらい気持ちを一人で抱え込むことなく、信頼できる身近な人や担当医、看護師などスタッフにお伝えください。

ただし、ひどく落ち込んで何も手につかない状態が長引いたり、日常生活に支障が続くようであれば、心のケアの専門家に相談するのも大切です。相談するか?しないか?判断に迷うときは自己診断法で自分の心身状態をいてみるのもよいでしょう。参考までに下図にお示しします。

「がん」と診断された後の受診について

「がん」と言われたあと、次々と病気の事、治療のことを説明されてもわからない!と思う方が殆どです。できるだけわからないことは医師、スタッフにお尋ねください。

  • がん治療法って何?
  • 生活で注意する事は何?
  • わからないことを質問したら怒られない?

診断後、頭が真っ白で質問する内容すら思いつかない…それは普通のことです。そのようなときには日を改めて受診できると少し落ち着いて話を受け止めることができるかもしれません。また可能であれば家族や親しい方に同席してもらうと安心感があり、質問や話がしやすくなるかもしれませんね。質問の優先順位をつけて無理のないように何回かにわたって質問したり、その場で聞けなくても思いついた時にメモ書きしておくのもよいと思います。
これから治療や療養生活を送るうえで納得しながら治療を進めていけるよう、ご自身の状態や気持ちを率直に伝え、医療者との関係を築いていくことは大切です。

治療や療養の方針に関わることについて担当医だけでなく、別の医師の意見を聞くことを「セカンドオピニオン」と言います。セカンドオピニオンを希望される場合は診察の際に担当医に気兼ねなくご相談ください。

  • 主治医に信頼していない、って思われちゃうかな?
  • 治療してもらえなくなるかな?
  • セカンドオピニオンを希望したら転院になってしまって、ここに戻ってこれないのかな?

とご心配される方もおられますが、そんなことはありません。いろいろな方の意見を聞いて、納得されて治療できることが何よりも重要です。

治療開始前から治療中の過ごし方
  • 規則正しい生活
  • 適度な運動で体力の維持を行う
  • 深呼吸や簡単なストレッチも有効

と考えています。
何よりも「自分の体調に合わせ無理をしないこと」が最も大切な体調管理です。

大切な家族にどうやって伝えよう…
親御さんへのお伝えの仕方

がんと告知された時に「家族にどうやって伝えよう…」と悩まれる方は沢山います。

  • 話すか、話さないか…
  • 親には心配かけたくない
  • どうやって話をきりだそうか…

など。ご家族へのお気持ちが溢れています。

私たちはこのように考えます。「あなたも家族の一員です」
がんと診断された方の中には「親御さんにお話しできなかった」という方もいます。伝えずにいた場合に、後で事実を知った親御さんの多くが「何故、いってくれなかったのだ…」と悲しまれ、親としてのご自分を責めてしまうのは悲しい事です。
お話を聞いた親御さんはやはりショックを受けられるでしょう。伝えるタイミングも大切かもしれません。ただ、きちんとお話しできれば親御さんはご自分のことのようにサポートしてくれると思います。その時々、落ち着いた時にでも感謝の気持ち「ありがとう」を伝えていってください。感謝の言葉は最高の親孝行です。

思春期のお子さんへのお伝えの仕方

がんの事をお子さんにどうやってお伝えすればよいか?悩まれる方は沢山います。大人になる成長発達途中の段階にあるお子さんに合わせた伝え方、お子さんの受け止め方、お子さんのケアなどいろいろ考えてしまいます。この発達段階にある子どもは精神的に不安定であったり、コミュニケーションが難しいこともあり、変化に敏感です。「なんか変」を察する力は強いものがあります。だからこそ、真実を、正しい情報をお伝えしたほうがよいと考えます。真実を伝えてくれたことにより、お子さんの親に対する信頼感が増し、ともに話せることで疎外感や孤独感を持たずに過ごすことにもつながります。きっと責任感や共感する力も育つと思います

このように家族でがんと付き合っていくには、ご自身だけでなく家族も張り詰めた気持ちを緩めることが出来るように普段通りのかかわりを持てるとよいでしょう。

治療費について

「これから始まる検査や治療費ってどのぐらいかかるのだろう?」と経済的な心配をされる方は少なくありません。治療の内容によって費用は様々です。ご負担について、何らかの手立てがあるかどうか、是非当院患者サポートセンター、または地域のがん相談支援センターに相談されることをお勧めいたします。参考までに様々な制度があることを下の図でご紹介します。

茨城県内医療機関では「がん相談支援センター」など皆さんのサポートを行う窓口があります。(無料)

家族ががんと診断されたら…

ご家族が「がん」と診断された時、ご家族へのご心配、もしかしたら大切な家族を失うかもしれない…そんな心の負担を抱えながら、一方で患者さんを励まし、支えなければならない。患者さんご家族は「第二の患者さん」と言われるほどにご本人同様にショックを受けます。ご家族の方へアドバイスをまとめました。

まずは病気について正しく知りましょう

病気の事、治療、今後のことなど遠慮なく医師や看護師、医療スタッフにお尋ねください。専門の書籍やインターネットなどで情報を得ることも方法の一つです。また患者会などで当事者の方々のお話をうかがうことも大変参考になります。

インターネットからの情報収集の注意点!

インターネットの情報は誰でも発信することができます。そのため裏付けのないまま発信された信ぴょう性の低い情報が含まれている場合があります。情報は信頼できるホームページを参照されることをお勧めします。情報の信頼性は担当医に確認してください。国立がん研究センター「がん情報サービス」はとても分かりやすく、確かな情報ですのでご覧ください。

医療者との橋渡し役を

患者さんにとって身近な存在である方が、普段の生活の様子や話している想いを必要に講じて医療者に伝えていただくことも、身近な人にできることの一つです。

以前と同じコミュニケーションを

「がん」とわかった時に家族の行動が不自然になることがあります。テレビでがんのことが流れると番組を変えたり、聞いておきたいことが沢山あっても切り出せなかったり…。無理に患者さんの想いを聞き出そうとする必要はありませんし、もし全てはなしてもらえなかったとしても、信頼されていないわけではありません。以前と変わらない普通のコミュニケーションを患者さんはもとめているかもしれません。

思いに寄り添う

「思いに寄り添う」のは医療者でも永遠の課題です。人は「なんとかしてあげたい」「何ができるだろう?」と考えます。

今は患者さんのお話に耳を傾けましょう。話を聞くときのポイントを4点お伝えします。

  • 話を聞くときは答えを用意しない
  • 相手の話を否定しない
  • 良いアドバイスや良い意見を言わなくてもOK
  • 一緒に(共に)答えを探す気持ちで話を聞く

心にとめておいてください。

家族が頑張りすぎないこと

「家族だからできる限りのことをしたい」

本当に一生懸命、頑張っている方に沢山お会いします。

でもあなた自身の心身の健康はとても大切です。患者さんを支えるのはあなた一人ではありません。時々休息してください。そしてご家族の思い、あなたの思いを私たちスタッフにも聞かせてください。

緩和ケアについて

緩和ケアとは?

がんになると痛みやだるさなどの身体的な症状や不安、気持ちの落ち込みなど精神的なつらさも経験するといわれています。放っておくと日常生活に支障をきたし、がん治療もうまくできなくなることがわかっています。身体や心のつらさを少しでも和らげることにより、あなたらしい生活を送ることが出来るように…そんな治療が「緩和ケア」です。

まだまだ「緩和ケア」というと「がん治療が出来なくなった方の医療」と思っておられる方が多いようです。しかし緩和ケアは「がんと告知された時(初期段階)からがん治療と一緒に受けることが出来るケアです。

筑波学園病院の緩和ケアチーム

私たち緩和ケアチームは診療科や職種の枠を越えた他職種チームです。さまざまな角度からがん患者さんとそのご家族をサポートします。

  • 入院中で、緩和ケアチームの診察をご希望の方は、病棟担当の看護師にご相談ください。
    (毎週木曜日:15時頃から病棟を訪問しています)
  • 外来通院中の方は、直接患者サポートセンターにお越しいただくか、ナビダイヤルでお問い合わせください。

筑波学園病院:ナビダイヤル 0570-03-1355

患者サポートセンタースタッフがお話をお伺いした上で、担当者におつなぎします。ただし当日担当者が不在の場合は相談内容に応じての対応となりますので、ご了承ください。

おわりに

筑波学園病院スタッフは、皆様にとって何が良いかを常に考えながら、全力でサポートしていきたいと考えています。どうか、皆様の声を、お話を聞かせてください。