治療について - 男性不妊

精子凍結保存についてQ&A

Q1.精子凍結保存の目的は?

精子を採取時にその一部ないし全部(受精可能と思われる精子に限る)を凍結保存し、後日卵へ受精させる時に融解し用います。通常の方法での精子採取が困難であったり、採取が可能であってもその量が極端に少なく受精可能な精子の採取が困難な場合があります。そのため、精子を採取時に受精可能と思われる精子が得られた時に一部または全部を凍結保存し、後日卵へ受精させる時に融解し用います。この方法によって精子採取時の負担を軽減することを目的とします。

Q2.精子凍結保存の適応を教えてください。

原則として不妊治療目的の患者で精液所見が乏精子症ないし無精子症の患者を対象とし、以下の条件に符合する場合に施行します。なお、無精子症の場合は精巣生検にて正常精子造成能が認められる症例を対象とします。

  • 1.精液所見が極端に変動し、しばしば運動率の極端な低下及び奇形率の上昇が認められる症例
  • 2.精子数が極端に変動し、しばしば無精子症となる症例
  • 3.精巣内精子抽出法(testicular sperm extraction:以下 TESE。精巣を切開して直接精子を得る方法)や顕微鏡下精巣上体精子吸引法(microsurgical epididymal spermaspiration:以下 MESA。精巣上体へ直接針を刺して精子を吸引して得る方法)で得られた精子
  • 4.他疾患の治療のため無精子症になることが予想される症例
  • 5.脊髄損傷や神経疾患による勃起不全状態にある症例
  • 6.受精のため必要な新鮮精液の採取が精神心理的要因のため困難な症例

4、5については婚姻していない(未婚)方や未成年についてもご相談に応じています。腫瘍治療で化学療法や放射線療法を行い、将来お子さんを欲しいと思ったときに良好な精子を得ることが困難になる可能性があるケースについては治療前の精子凍結保存を検討することがあります。 既婚や未婚、未成年ごとに手続きの方法が異なる場合がありますので、遠慮なく泌尿器科医師にご相談ください。

Q3.精子凍結保存のメリット、デメリットは何がありますか?

メリットは次の点です。上記の適応に当てはめて説明します。

  • 1のケース→精液所見が良好な時の精液を保存しておくことにより卵との受精時に精液所見が安定したものを使うことができます。
  • 2、5、6のケース→精子が得られないために不妊治療が途中で中止になる可能性が減少します。
  • 3のケース→精子採取時の身体的・経済的負担の軽減
  • 4のケース→挙児希望が可能になります

デメリットは次に示します。
精子は凍結・融解の段階で障害を受けないように保存液・添加剤・保存条件を考慮してありますが、それでもある程度の障害を受けるのは避けられません。そのため凍結した精子は凍結前と比較して完全に同じ状態に戻らない可能性があります。さらに体外受精胚移植法(以下 IVF-ET)・顕微受精(卵細胞質内精子注入法:以下 ICSI)等の準備をしたにもかかわらず、凍結精子を融解してみたところ生存精子が認められないため治療中止になる可能性もあります。
また、凍結・保存・融解により精子に影響を及ぼし、それが故に他の影響(先天性異常児の発生・流早産の危険性など)生ずる可能性は考えられます。
精子の保存管理には万全を期するように配慮するが、機器の故障・火災・天災・盗難など予期せぬ事態に対する100%安全の保障は不可能です。

Q4.精子凍結保存の手技や方法を教えてください。

  • 1.精液採取
    男性側が無精子症の場合は麻酔下(腰椎麻酔あるいは局所麻酔)に精巣生検し、それにより得られた精巣組織より精子を採取する。乏精子症の場合は男性自ら放出した精液より精子を採取します。(この場合は運動性が良好で奇形の無い精子を保存対象とします)
  • 2.精子洗浄濃縮
    前に述べたような方法で得られた精子はより運動性の高い精子を集めるため特殊な添加剤を加え、洗浄濃縮します。
  • 3.精子保存凍結
    洗浄濃縮された精子に保存液(凍結防止剤を含む)を加えた後に液体窒素内で凍結保存されます。処理を終えた精子の状況にもよりますが、1本から数本のスピッツ(小さな試験管のようなもの)に分注し凍結保存します。

Q5.精子を融解する場合はどのような時ですか?

不妊治療の際に使用します。凍結保存されていた精液を微温湯内で融解し、融解後直ちに特殊な液を加え洗浄し、凍結保存液を除去して受精に用います。

Q6.精子凍結保存期間はどのぐらいですか?

保存期間は原則として1年を限度とします。上記期間を越えて期間延長の要請のない場合は事前通告なしに廃棄します。こちらからのご連絡はいたしません。
期間の延長を希望する時は保存期間が失効する3か月以内に患者さんご本人が当院泌尿器科を受診しその手続きを行った場合に限り、1年を限度としています。期間延長はその手続きが期限3ヶ月前になされる限り何回でも可能です。上記期間内であっても患者さん本人の離婚・死別・自己判断能力の著しい低下および欠如が認められた場合にはそれが確認された時点で廃棄とします。また患者さんからの申告に虚偽の事実があることが判明した時は廃棄することがあります。廃棄となった場合、廃棄前に精子の保存状態を確認するために融解し検査をすることがありますが、それ以外での廃棄精子の使用は原則として行いません。

精子凍結保存は原則当院で不妊治療を行う目的で凍結を行っており、本来他院移送は想定しておりません。やむを得ない事情で移送をご希望される場合はかならず医師に相談してください。

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