治療について - 男性不妊

TESE、MD-TESEについてQ&A

ざっくりしたご説明なので、くわしいことは泌尿器科医師に必ず確認をしてくださいね。

Q1.TESEとは?

精巣内精子採取・TESE(Testicular Sperm Extraction)は無精子症の男性患者さんに対し精巣内から直接精子を採取してくる方法です。のちにこれを顕微鏡下にパートナーの卵子に注入する方法(ICSI)を行います。近年この治療法の導入・普及により、従来は非配偶者間人工授精(AID)に移行せざるを得なかったご夫婦にも夫の精子を用いての妊娠出産の可能性が広がることになりました。

Q2.TESEの適応はどのような場合でしょうか?

無精子症は閉塞性無精子症と非閉塞無精子症に分類されます。閉塞性無精子症は精子の通り道 (精巣上体や精管)に通過障害があるために射出精液中に精子が認められない疾患です。非閉塞性無精子症は精巣での精子形成機能が著しく低下しているために精液中に精子が認められない疾患です。いずれもTESEの適応になり、特に非閉塞性無精子症ではTESEが精子を回収する唯一の方法です。

Q3.TESEを希望する前に必要な検査がありますか?

  • 1.精液検査
    すでに無精子症と診断されている場合でも、繰り返し精液検査を行ったり精液を遠心 処理することにより微量な精子が見つかることがあります。当院では他院での検査を含めて最低3回の精液検査をお勧めしています。
  • 2.染色体検査 ・Y微小欠失遺伝子検査
    TESE希望の患者さんには染色体検査ならびにY微小欠失遺伝子検査を受けていただきます。血液検査でできますが結果が出るまでに1か月ほどかかります。無精子症に関する染色体異常は染色体の数の異常やY染色体の異常などがあります。もし、染色体異常が判明した場合は遺伝相談を受けていただくことをお勧めしています。
Q4.TESE実施までの流れはどのようになりますか?

  • 1.配偶者の産婦人科受診
    奥様が当院を未受診の場合、産婦人科を受診していただきます。TESEで回収した精子は 品質管理の問題から、原則として院外への持ち出しを禁止しているため、顕微授精は当院で行うことになります。(やむを得ず移送ご希望の方は事前に医師にご相談ください)
  • 2.不妊カウンセリング
    TESE を希望される患者さんにはご夫婦で不妊カウンセリングを受けていただいています。カウンセリングでは不妊治療の流れや費用などはもちろんのこと、心理面でのサポートも行っています。また泌尿器科と産婦人科の橋渡しの役割も担っています。

Q5.TESE前に理解しておいた方がよいことは何かありますか?

  • 1.検査目的の精巣生検について従来は無精子症の患者さんは精子が存在するか否かを確認する目的で精巣の一部を採取する精巣生検を行っていました。しかし、精巣生検で精子が存在しないと判断された場合でも、精巣内をくまなく探索することにより精子が回収し得ることが近年明らかとなり、検査目的の精巣生検の意義は薄れてきています。当院でも無精子症の患者さんには精巣生検のステップを経ずにTESEを行っています。
  • 2.同時採卵について
    TESE で回収した新鮮な精子を、その場で卵子へ注入する方法もありますが、精子が回収 不能であった場合に奥様から採取した卵子を破棄するしかないため、通常はお勧めできません。したがってTESEで回収した精子は凍結保存を原則にしています。
  • 3.採取した精子は顕微授精で使用します。したがってその後の治療についても十分理解を深めてください。

Q6.TESE治療の実際はどのようなものでしょうか?合併症などありますか?

TESE は精巣生検同様に精巣組織のごく一部を採取して精子を回収する Conventional-TESE と、顕微鏡下で精巣内をくまなく検査するMD-TESE(micro dissection-TESE)に分けられます。治療には患者さんの状況により以下の3通りのパターンがあります。

1.Conventional TESE(入院)

陰嚢の真ん中に3㎝くらい皮膚切開を置き、状態の良好な側の精巣(左右差がない場合には通常右側)を創外に引き出し、精巣白膜に小切開を入れて精巣組織の一部を採取します。これで精子が十分に確認回収できれば凍結保存します。閉塞性無精子症の場合は、このConventional TESEで精子が回収できる可能性が高いと言えます。全身麻酔 手術時間 30~60分 1泊入院で行います。

2.MD-TESE(入院)

上記(1)の手技で精子が回収不能な場合は引き続いて顕微鏡下の手術手技に移行し、精巣白膜を大きく開いて精子が回収できるまで精巣内をくまなく検索します(MD-TESE)。片方の精巣で回収不可能であればもう片方の精巣内も同様に検索します。非閉塞性無精子症ではMD-TESEまで必要になる可能性が高いと言えます。
全身麻酔 手術時間 約3時間 1泊入院

3.Conventional TESE(日帰り)

すでに精巣生検が行われていて、精巣内に精子が十分存在することが確認されている 閉塞性無精子症の患者さんでは日帰り手術によるConventional TESEを行います。 局所麻酔 手術時間 30~60分 外来日帰り手術

考えられる合併症は次の通りです。

主な合併症としては創部痛、発熱、精巣上体炎、陰嚢内血腫などです。重篤な合併症は極めてまれであり、術中術後管理には十分注意をしていますのが、予想外の合併症が起きる可能性もゼロといえませんのでご了承下さい。 MD-TESE を行った場合、術後 1 年くらいは男性ホルモンが 20%くらい低下すると報告されて いますが、日常生活へ影響するほどのものではありません。しかし、MD-TESE を 2 回以上行うと精巣の更なる萎縮や不可逆性の男性ホルモン低下を招く危険性が高まるので、複数回にわたるMD-TESEは推奨されていません。

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