乳腺内分泌外科
お知らせ
診療科紹介
当院は日本乳癌学会の乳癌関連施設及び日本内分泌外科学会の認定施設の各施設認定を受けており、乳腺、甲状腺、副甲状腺、副腎及びリンパ節の各疾患についての診療を行っています。
診療体制は常勤医師(石川智義)1名、手術担当の非常勤医師として、原尚人医師(筑波大学乳腺甲状腺内分泌外科)及び当院研修医を配し、診療部門及び乳がん健診部門に分けて実施しています。
診療部門では、外来診療(月曜日午前・火曜日午後・金曜日午前午後)、手術療法、入院及び外来での化学療法、近隣医療機関と協力して進行乳がん患者に対する緩和ケア及び在宅緩和ケアの支援を実施しています。乳がん術後の上肢挙上訓練及び患側上肢浮腫の防止に対してはリハビリテーション科と連携をして、リハビリテーションの推進を行っています。がんリハビリテーションを積極的に推進すべく手術患者の術後リハビリテーションに加え、術前リハビリテーションも導入しています。
腎性副甲状腺機能亢進症患者に対する副甲状腺全摘術(以下PTx)については、当院腎臓内科および近隣の透析病院と手術患者の紹介、術後患者の通院加療などの診療連携を進めています。甲状腺疾患については、当院耳鼻咽喉科との診療連携を、発展著しい甲状腺癌の化学療法の分野では筑波大学乳腺甲状腺内分泌外科との診療連携を行っています。
乳腺疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患共に他医療機関からの紹介患者が増加傾向にあり、今後も各疾患について個々のニーズにそった診療を進めていきたいと考えています。
乳がん健診部門は、乳がんの専門ドック、市町村、企業及び人間ドックで施行される乳がん健診を実施しています。乳がん患者の増加に伴い、乳がん健診の重要性が増し、健診受診者も増加。乳がん健診部門は健診から外来への円滑な橋渡し役を担っています。
しかしながら、通常の乳がん健診では毎回要精査となってしまうため、外来で定期チェックを目的に受診する患者さんや乳がん健診の2次健診のために外来を受診する患者さんが増加してきており、外来と健診とのシームレス化が進行しつつあります。
また、乳がん術後患者の会であるリボンの会や多職種との臨床病理カンファレンスの開催、乳がん術後患者のADLの向上に努める活動、特に癌の終末期の在宅緩和ケアについて介護保険を導入して、患者さんの残された時間が実りあるものとする活動にも力を注いでいます。
外来診療
外来診療では、視診・触診・穿刺吸引細胞診・乳頭分泌物細胞診を施行し、検査説明・検査結果・治療経過などの説明・指導を行っています。乳腺疾患及び甲状腺疾患共に紹介患者数も増加傾向にあります。手術患者および化学療法患者ともに入院期間が短期である当科では、外来での診療は重要な診療の柱をなしています。
乳がん健診部門においては、人間ドック・企業健診・市町村の乳がん健診・個人単位の希望者に対する乳がん健診を実施しました。マンモグラフィ健診の普及に伴い、触診単独の健診は廃止し、触診+マンモグラフィ、触診+マンモグラフィ+超音波検査の2種類としました。超音波健診を希望される方が増加する傾向にあります。また、健診結果も健診日に健診者に説明をしています。
入院診療
入院診療では主に手術患者及び化学療法患者に対する診療を行っています。化学療法は特に第1クールの患者さん及び副作用により通院での化学療法が困難な患者さんを対象としています。
在院日数は2016年度は、乳がん患者では12日(術前2日及び術後10日でうち術後の4日間はリハビリテーション)、甲状腺患者では10日(術後2日及び術後8日)、化学療法患者は3日でした。外来と病棟の連携を強化し、患者情報を円滑に移行しあうシステムの構築を看護部、リハビリテーション部などの関連部門との協力を得て実施しています。
外来診療表、休診・代診情報
外来診療表
主な疾患
乳腺(乳癌、乳腺症、腺維腺腫、乳腺炎など)、甲状腺(甲状腺癌、バセドウ病、橋本病など)、上皮小体(原発性上皮小体機能亢進症、続発性上皮小体機能亢進症など)、副腎(原発性アルドステロン病、クッシング症候群、褐色細胞腫など)、リンパ節(リンパ腫、リンパ節炎など)の各疾患。
医師紹介
その他
乳がん健診実績(2016年度)
乳がん健診受診者総数(人間ドック・企業健診も含む) | 1031例 |
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うち異常なし(カテゴリー1) | 97例 |
乳腺症(カテゴリー2) | 925例 |
要精査(カテゴリー3以上) | 9例※ |
※最終診断として、乳腺症:7例、乳管拡張および乳腺嚢胞:4例、線維腺腫:1例、乳癌:1例(重複症例を含む)
職員健診 | 197例(異常なし:12例、乳腺症180例、要精査:5例(良性石灰化を含む乳腺症:4例、乳腺症のみ:1例)) |
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手術実績(2016年度)
乳腺疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患のいずれも医療機関からの紹介患者が増加傾向にあり、今後も各疾患についてさらに個々のニーズにそった診療を進めていきたいと考えています。特に乳がん患者の症例数の増加は2015年9月ごろより顕著となっています。
乳がんの診断に必要不可欠な診断手技である乳腺腫瘍超音波ガイド下吸引術(CNB:Core Needle Biopsy)を手術室及び放射線エコー室で実施するようになってからは、手術のべ件数も増加することとなりました。
続発性副甲状腺機能亢進症に対するPTxは、薬剤治療の進歩により減少傾向にありましたが、PTxでないと治療できない症例もあり、PTxの価値が見直されつつあります。
今後とも更に社会の医療ニーズに沿った手術を目指していきたいと考えています。
手術術式別の実績については下記参照。
乳腺疾患(重複例を含む)
乳腺腫瘤切除術(良性) | 10例 | |
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乳腺腫瘍切除術(悪性) | 5例 | |
乳房温存術 | 乳房部分切除およびセンチネルリンパ節生検術 | 8例 |
乳房部分切除および腋窩リンパ節郭清術 | 8例 | |
乳房切除術 | 28例 | |
転移性皮膚腫瘍切除術 | 1例 |
甲状腺疾患
甲状腺葉切除術 | 1例 |
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甲状腺亜全摘および修飾的頚部リンパ節郭清術 | 5例 |
副甲状腺疾患
副甲状腺腫摘出術 | 1例 |
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PTx | 3例 |
移植副甲状腺切除再移植術 | 3例 |
その他
リンパ節生検術 | 1例 |
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(葉状腫瘍)単純乳房切除術 | 1例 |
創傷処理 | 1例 |
学会発表・論文
- 第16回 茨城内分泌研究会
2016年3月(水戸市) - 当院におけるシナカルセト塩酸塩を投与した腎性副甲状腺機能亢進症症例の血液生化学検討
石川智義
- 第28回 日本内分泌外科学会総会
2016年5月(横浜市) - 乳腺Matrix-producingcarcinoma(MPC)の1手術例
石川智義
- 第24回 日本乳癌学会学術総会
2016年6月(東京都) - 肺転移を伴う乳癌終末期患者に対して在宅緩和ケアに介護保険を導入した自験例の検討
石川智義
- 第14回 茨城内分泌外科研究会
2014年3月(日立市) - 高カルシウム血症クリーゼをきたした原発性副甲状腺機能亢進症の1手術例
石川智義1、上田翔2、栗盛洸2、木村聡太2、飯田浩行2、軍司直人2、五本木武志2
1.筑波学園病院乳腺内分泌外科
2.同消化器外科
- 第114回 日本外科学会
2014年4月(京都府) - 当院における後期高齢者乳癌の手術症例の検討
石川智義
- 第26回 日本内分泌外科学会総会
2014年5月(名古屋市) - 高カルシウム血症クリーゼをきたした原発性副甲状腺機能亢進症の1手術例
石川智義
- 第22回 日本乳癌学会学術総会
2014年7月(大阪府) - ポスター掲示「特殊型」 浸潤性微小乳頭癌5手術例の免疫組織学的検討
石川智義